建築家

建築家(けんちくか)とは、自らの美学的見地・論理的分析にもとづいて建築物を設計し、実現に必要な知識や折衝能力・監督能力を有する人のことである。すなわち、計画・意匠面の考案者・著作者であるとともに、実現の上での技術的側面を統括・指揮する責任者である(参照: 建築)。

<日本の建築家>
日本では伝統的に設計と施工を兼ねる大工棟梁がいた。幕末・明治初期に洋風建築を造った大工棟梁として二代目清水喜助(清水組)らが知られる。 Architect の概念は、明治時代以降に輸入されたもので、まずは明治政府が雇用したお雇い外国人トーマス・ウォートルスやジョサイア・コンドルらが活躍した。次いで官立大学を中心に西欧の建築学が導入された。東京駅の設計で知られる辰野金吾は工部大学校(後の東京大学工学部)1期生である。
Architecture は当初「造家」と訳され、1886年に工部大学校卒業生を中心に「造家学会」が設立された。やがて伊東忠太による提案を受け、1897年に建築学会(現・日本建築学会)と改称した。伊東は、「造家」では技術的な要素が強すぎるので、芸術的な要素を強調するため「建築」という名称を主張したものであった。しかし、建築学会にはやはり技術的な側面が強く、純粋な建築家のみでなく、施工側の建設会社も参加する団体となっていた。これに対する反発として、大正時代に日本建築士会と関西建築協会が結成された。日本建築士会は設計と施工の分離を主張し、西欧の Architect に相当する地位を確立すべく、「建築士法」制定運動を起こした。1925年に「建築士法」案が議会に提出されたが、建築界の反対もあって成立を見なかった。
第二次世界大戦後の1950年、建築士法が成立し、国家資格としての「建築士」制度が誕生した。(名称は同じだが)その内容は戦前期に提案されたものと異なっており、「建築士 = Architect(建築家)」というわけではない。現在に至るも、日本では「建築家」として認められるための公的認定機関は存在せず、それに代わる資格認定機関も存在しないのが実状である。
このため「建築家」の明確な定義はないが、一般的には
・建築関連の何らかの賞を受賞した人物
・著名建築物の設計等で広く名前が知られた人物
などについて、建築家と呼ぶことが多い。一般マスメディアは「一級建築士」で権威付けすることが多いが、業界内では、「建築家」という呼称が作家性の存在を示唆する。『新建築』『GA JAPAN』『建築文化』などの建築関連専門雑誌メディアなどを作品発表の場とする人がいわゆる有名建築家とされることが多いが、優れた設計を行っている建築家の中には、メディアに登場しない(したがらない)者もいる。
実務上は、建築設計事務所のなかでも国家資格である「建築士」を擁した登録事務所でなければ、一定規模の建築を設計・監理することはできない。他方では、前述したように「建築家」という資格制度そのものは整備されておらず、それを名乗るのに免許証や資格証等の証明が不要である。自身では資格がなくとも、スタッフに有資格者を置くことで建築家と名乗ることも可能ではある。

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